あかつきをー、だっけ?よくわかんない。
まあ、寝てる暇もないのだけれども。
しっかし、ペンを取るのも久し振りね。
ところでまあ自分で言うのもなんだけど、私ってば何一つとして手入れとかしないのよね。
服も然り、剣も然り。
剣なんか切れ味悪くなるけど、まあ駄目になったら買い換えるし?
まあ何が言いたいかって、そろそろ買い替え時なのかしらねーみたいな自問自答。
手入れとか覚えた方がいいのかもだけれども、
……、特に持ち物に愛着を持つ訳でも無し。
最悪ある程度素手でも戦えるから。いざという時に身軽になれるってのは楽よね。
―――。
続きを何か書こうとしたが、インクが切れてしまったのか、紙を細く傷つけただけで。
ああ、もう、とペンをインクに突っ込んだまま、仰向けに倒れ込む。
(……、身軽、ね)
自分に嘘を吐いた覚えは無い。
そもそも今まで、嘘を吐かれる経験はあれど、自分から吐く方法を学んだ事も無い。
……勿論方法は知っているし、きっと吐こうと思えば吐けるのだろうけれど。
そんな必要は無い。少なくとも、今は。だが、
(なら、なんで『居場所』を持ってしまうの?)
作ろうとした訳ではない。結果的にそうなった節もある。
けれど、それはただ只管に重いだけなのに、なのに、
――それもまた、良いと思ってる、なんて。
「…………そんな訳無いじゃない…………!」
慟哭。
または、悲鳴。
「あんたは悪魔なの。飼ってるなんて生易しいもんじゃない、忌子なの!
ああ、もう!……ああ!」
根付いた意識(トラウマ)など、歳若い彼女が振り払えるものではない。
いずれ訪れる宵闇と同じように、常に少女の傍に、隣に、存在し続ける。
少なくとも、まだ。
……少女は、"独り"なのだから。